生活習慣病とは、「偏った食生活」「運動不足」「肥満」「過度な飲酒」「喫煙」「睡眠不足」「ストレス」といった生活習慣が発症・進行に大きく関わる病気のことです。
主なものに糖尿病、高血圧、脂質異常症などがあります。
生活習慣病の特徴として、自覚症状がないまま進行するということが挙げられ、異変に気づかないまま同じような生活を続けていると、心臓病や脳卒中、腎臓病などの重篤な疾患の原因となる場合があります。
気になる症状がなくても、健康診断で異常を指摘された方は、お早めに当院へご相談ください。
高血圧とは
血液が血管を押す圧力のことを「血圧」と言い、この血圧が高い状態が続くことを高血圧と言います。
高血圧になると血管に大きな負担がかかり、動脈硬化の原因となります。さらにこの状態が長く続くと、心筋梗塞や脳梗塞などに繋がる恐れがあります。
なぜ血圧が高くなるの?
階段を上るなどの日常的な動作、スポーツ、ストレス・緊張などで一時的に血圧が高くなることはありますが、こうした要因以外にも、塩分の過剰摂取、自律神経の乱れ、お薬の副作用などが原因で血圧が高くなる場合があります。
生活習慣では特に食塩摂取量の多さや肥満などが問題で、これらを改善することが高血圧の治療の基本となり、それでも改善がみられない時には血圧を下げるお薬を使用いたします。
「高血圧治療ガイドライン」の新基準値
2019年4月に「高血圧治療ガイドライン」の基準値が新しくなりました。
ご自身の血圧レベルを知っておきましょう。
分類 | 診察室血圧 | 家庭内血圧 | ||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧(最高血圧) |
拡張期血圧(最低血圧) |
収縮期血圧(最高血圧) | 拡張期血圧(最低血圧) | |
正常血圧 | <120 かつ <80< | <115 かつ <75 | ||
正常高値血圧 | 120~129 かつ/または <80 | 115~124 かつ/または <75 | ||
高値血圧 | 130~139 かつ/または 80~89 | 125~134 かつ/または 75~84 | ||
I度高血圧 | 140~159 かつ/または 90~99 | 135~144 かつ/または 85~89 | ||
II度高血圧 | 160~179 かつ/または 100~109 | 135~144 かつ/または 85~89 |
(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より)
高血圧が長期間続くと…
高血圧そのものが原因で自覚症状が現れることはありませんが、長期間続くと血管に過度な負担がかかって動脈硬化を引き起こす場合があります。
この動脈硬化が問題で、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞や脳出血などを招く恐れがあります。
このような重篤な疾患を引き起こさないためにも、きちんと治療を受けて血圧をコントロールするようにしましょう。
当院で行う高血圧の治療について
食事療法
塩分や動物性脂肪の過剰摂取は血圧を高める原因となりますので、食事内容を見直すようにします。
日本人の1日の平均食塩摂取量は11~12gと言われていますが、高血圧の方の場合、1日6gを目標に減塩することが重要とされています。
運動療法
高血圧の方のうち、内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)が原因である場合が多いです。そのため、積極的な運動により体重減少をはかって、血圧を下げるようにします。
ただ、あまり運動経験のない方が、いきなりランニングなどを始めると足腰を悪くする恐れがありますので、まずは週2~3回・1回30分程度のウォーキングなど、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。
薬物療法
食事療法や運動療法を行ってもなかなか血圧がコントロールできない場合には、お薬を使って血圧を下げます。
現在は様々な降圧剤があり、副作用が少ないものもありますので、お一人おひとりの病状や体質に合ったものを選んで処方いたします。
その他(禁煙など)
過度なアルコールの摂取、また喫煙は血圧の上昇だけでなく、動脈硬化を進めるリスクとなります。
食事の見直しや積極的な運動だけでなく、節酒・禁酒や禁煙にも取り組むようにしましょう。
脂質異常症とは
「LDL(悪玉)コレステロール」「HDL(善玉)コレステロール」「中性脂肪(トリグリセライド)」とった血液中の脂質が異常な値を示す状態です。
具体的には、各脂質が次のような値を示す時に脂質異常症と診断されます。
■LDL(悪玉)コレステロール
140㎎/dl以上
■HDL(善玉)コレステロール
40㎎/dl未満
■中性脂肪(トリグリセライド)
150㎎/dl以上
動脈硬化を引き起こす脂質異常症
通常、脂質異常症そのものが原因で自覚症状が現れることはありませんが、そのままにしていると動脈硬化を進める恐れがあります。
そして動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重篤な疾患を引き起こす場合があります。健康診断で脂質の異常を指摘された場合には、お早めに当院へご相談ください。
脂質異常症の治療
脂質異常症を改善するには、まずは食生活の見直しが大事です。毎日の食事内容を改善して、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)を減らすよう指導を行います。
食生活だけでなく、生活習慣全般を見直すことも大切ですので、積極的な運動、減量、禁煙なども治療に取り入れます。
こうした生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合には、お薬を使った治療を行います。
食事療法
LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が高い方、またHDL(善玉)コレステロールが低い方を対象に、お一人おひとりの病状に合わせて適切な食生活の改善をアドバイスいたします。
運動療法
運動により、中性脂肪(トリグリセライド)の低下や、HDL(善玉)コレステロールの上昇などが期待できます。
1日30分程度のウォーキングや軽い体操など、まずは無理のない運動から始めるようにしましょう。
歩ける範囲は徒歩で移動したりするなど、普段の生活の中で工夫して体を動かすようにすることも大事です。
薬物療法
食事療法や運動療法を行っても、思うような効果が得られない場合があります。こうした時にはお薬を使って治療いたします。
お薬を処方されたら、ご自身の判断で減薬したり、休薬したりせずに、食事運動療法に加え、毎日服用するようにしましょう。
肥満症/メタボリックシンドロームとは
肥満症とは脂肪がついて体重が増加し、BMI(肥満指数)が25以上の状態を指します。
そしてメタボリックシンドロームとは、ウエストまわりに脂肪がつく内臓脂肪型肥満、そしてこれに血糖値の異常、脂質値の異常、高血圧といったものが2つ以上重複した状態を言います。
肥満症とメタボリックシンドロームの違いは?
肥満症とメタボリックシンドローム、どちらも同じようなものと思われるかもしれませんが、それぞれ明確な指標があります。
そのため分けて考えることが大事で、肥満症により健康へ様々な悪影響がおよぶことが考えられますが、そのうち特に動脈硬化に注目し、それを予防、早期発見・早期治療するために行われるのがメタボリックシンドロームの診断なのです。
肥満症の診断
■BMI(肥満指数)の計算方法
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
■肥満度
BMI | 肥満度 |
---|---|
25以上 | 肥満 |
18.5~25未満 | 普通体重 |
18.5未満 | 低体重(痩せ型) |
メタボリックシンドロームの診断
■ウエストのサイズ
男性:85cm以上
女性:90cm以上
■次のうち2つ以上にあてはまる
<血糖値>
空腹時血糖:110mg/dL以上
<脂質値>
中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dL以上
HDL(善玉)コレステロール:40mg/dL未満
<血圧>
最高血圧:130mmHg以上
最低血圧:85mmHg
肥満症/メタボリックシンドロームの治療
肥満症、メタボリックシンドロームともに改善するには、食事制限や積極的な運動により肥満を解消することが大切です。
ただし、過度な食事制限は栄養不足や筋力低下などを招く恐れがありますので、正しい知識を身につけ、適切に行うようにしましょう。
また脂肪を燃焼させるにはウォーキングなどの有酸素運動が効果的で、筋力をつけることで基礎代謝が高まり、太りにくくなります。無理のない運動から始め、継続できる環境作りを心がけましょう。