ヘリコバクター・ピロリ菌とは?
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)とは、胃の粘膜に棲みついているらせん状の細菌で、これに感染すると胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎などのリスクが高まることがわかっています。
特に胃がんリスクの上昇は顕著で、胃がんの約90%以上がピロリ菌によるものです。
どうしてピロリ菌に感染するのかははっきりわかっておりませんが、経口感染が主な感染経路と考えられています。
衛生環境がまだ整っていなかった世代の方で感染が多くみられ、その後、上下水道が普及するにつれて感染率は低下し、現在、30代以下の若い世代では感染率は約25%程度とされています。
ピロリ菌がいると、どんな病気になる可能性が?
ピロリ菌の感染が認められた場合には、積極的な除菌が推奨されています。それは、ピロリ菌が胃がん、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、過形成性ポリープなどの病気の原因となることが分かっているからです。
特に胃がんの大きなリスクとなることが指摘されていて、ピロリ菌に感染している方は、そうでない方と比べて胃がんリスクが10倍程度高まると言われています。
当院で行うピロリ菌検査(診断方法)
■抗体測定
患者様の尿または血液からピロリ菌の抗体を検出して、感染の有無を確認します。
■糞便中抗原測定
患者様の糞便からピロリ菌の抗原を検出して、感染の有無を確認します。
■迅速ウレアーゼ試験
内視鏡検査を実施して、胃の粘膜からピロリ菌が持つ「ウレアーゼ」という酵素の作用で生成される尿素を検出して、感染の有無を確認します。
■鏡検法
内視鏡検査によって採取した胃の組織を染色し、顕微鏡で観察してピロリ菌に感染していないかどうか確認します。
■培養法
内視鏡検査によって採取した胃の組織を培養して、ピロリ菌に感染していないかどうか確認します。
ピロリ菌除菌の流れ(ピロリ菌陽性と診断された場合)
Step1 一次除菌
ピロリ菌の検査で感染が認められた場合、抗生物質などのお薬を処方いたしますので、それを1日2回、7日間服用して頂きます。
Step2 判定
処方した薬を服用し終えた後、2ヶ月程度の期間をあけてから、ピロリ菌が除菌されたかどうか確認します。
Step3 二次除菌(一次除菌でピロリ菌が消えなかった場合)
再検査の結果、まだピロリ菌の感染が認められ、除菌に成功しなかった場合には二次除菌に移ります。
一次除菌で使用した薬とは別の種類のお薬を処方し、再度ピロリ菌の除菌を行います。お薬の服用ペース・期間は一次除菌と同じです。
Step4 判定
二次除菌が終了した後、2ヶ月程度の期間をあけてから検査を実施し、除菌に成功したかどうか確認します。
Step5 三次除菌(二次除菌でもピロリ菌が消えなかった場合)
二次除菌を行ってもまだ感染が認められる場合には、三次除菌を検討します。
ただし、保険適用となるのは二次除菌までで、三次除菌からは自費診療となります。
除菌治療薬の副作用について
ピロリ菌の除菌治療を行うことで、次のような副作用が起こる場合があります。
- 肝機能障害[AST(GOT)、ALT(GPT)値の変動]
- 下痢
- 軟便
- 発熱
- 味覚異常
- アレルギー反応(発疹やかゆみなど)
通常、除菌治療の終了とともに自然に治まりますが、症状が強く現れたり、除菌治療を終えても症状が長引いたりするような場合には、お早めに大阪の玉城クリニックへご連絡ください。